口腔機能低下症
- Q. 「口腔機能低下症」と「オーラルフレイル」は何が違うのですか?
- A. 「状態」か「病気」かの違いです。
オーラルフレイルは、お口の機能が衰え始めた「兆候(フレイル:虚弱)」を指す言葉です。
一方で、口腔機能低下症は、当院で行うような精密検査によって数値が基準を下回った際に診断される具体的な「病名」です。
病気として診断されることで、保険診療での専門的なリハビリや管理を受けることが可能になります。 - Q.何歳くらいから検査を受けたほうが良いですか?
- A.65歳以上の方が保険適用の目安ですが、50代から意識することをお勧めします。
公的医療保険で口腔機能低下症の検査が受けられるのは原則65歳以上ですが、お口の衰えは50代から徐々に始まっています。
「最近よくむせる」「食べこぼしが増えた」と感じる方は、年齢に関わらず一度ご相談ください。
早い段階で自分の「数値」を知ることが、将来の寝たきり予防に直結します。 - Q.検査は痛いですか?時間はどのくらいかかりますか?
- A.全く痛みはありません。時間は15分〜20分程度です。
当院では、お口の乾きを測る「ムーカス」や、舌の力を測る「舌圧測定器」など、体に負担の少ない最新機器を使用します。
センサーを数秒当てたり、風船のようなものをグッと噛んだりするだけの検査ですので、お身体が不自由な方でも安心して受けていただけます。 - Q. 「ムーカス」では何がわかるのですか?
- A.お口の中の「潤い(湿潤度)」が1〜100の数値でわかります。
お口の乾燥は、単に喉が渇くだけでなく、食べ物をまとめる力を弱め、誤嚥(ごえん)のリスクを劇的に高めます。
ムーカスによって乾燥レベルを客観的に把握することで、適切な保湿剤の選択や、唾液腺マッサージの効果判定を行うことができます。 - Q.診断されたら、どのような治療をするのですか?
- A.下がってしまった数値を戻すための「トレーニング」が中心です。
お薬を飲むのではなく、歯科医師や歯科衛生士による専門的なリハビリを行います。
舌のトレーニング:飲み込む力をつける運動
唾液腺マッサージ:お口の乾燥を防ぐケア
咀嚼訓練:効率よく噛むための練習
これらを毎月のメンテナンス時に一緒に行い、数ヶ月後に再検査をして改善度を確認します。 - Q.毎月通わなければなりませんか?
- A.はい、毎月の継続的な管理が最も効果的です。
お口の筋肉も全身の筋肉と同じで、一度の指導で改善するものではありません。
当院は「口管強(口腔管理体制強化加算)」の認定医院ですので、毎月保険を適用して、お口の清掃と機能訓練をセットで受けることができます。
定期的に通うことで、衰えの進行を食い止めることができます。 - Q.自宅で寝たきりの家族でも、この検査は受けられますか?
- A.はい、訪問歯科診療でも全く同じ検査が受けられます。
当院は訪問診療の専門機材を揃えておりますので、ポータブルのムーカスや舌圧測定器をご自宅や施設に持参いたします。
外来に通えなくなった方にこそ、この「食べるための機能」の維持が重要です。ぜひ訪問診療のご相談を検討ください。
「噛めない・飲み込めない」を科学的に解決し、一生の健康を守る
「最近、食事中にむせることが増えた」
「昔に比べて滑舌が悪くなった気がする」
「お口の中がいつも乾いていて、食べ物が飲み込みにくい」
もしご自身やご家族にこのような変化があれば、それは単なる「年のせい」ではなく、「口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)」という病気かもしれません。
私は訪問歯科診療の現場で、お口の機能が低下したことで食事が摂れなくなり、急激に全身の筋力が衰え、寝たきりになってしまう方を数多く見てきました。
お口の健康は、全身の健康を守るための「最後の砦」です。
当院では、最新の検査機器を用いてこの衰えを数値化し、科学的な根拠に基づいたリハビリテーションを提供しています。
口腔機能低下症とは何か?
口腔機能低下症とは、加齢や疾患などにより、お口に関する「噛む」「飲み込む」「話す」といった機能が複合的に低下した状態を指します。
「オーラルフレイル」との違い
最近よく耳にする「オーラルフレイル」は、お口の機能がわずかに衰え始めた「兆候」や「概念」を指します。
一方で、口腔機能低下症は、厚生労働省が認めた正式な「病名」です。
つまり、歯科医院で専門的な検査を行い、基準に当てはまれば保険診療で検査・リハビリ・管理を受けることができるのです。
あなたは大丈夫? 7つの検査項目と当院の精密測定
口腔機能低下症の診断には、7つの評価項目があります。
当院では、客観的なデータに基づいた正確な診断を行うため、最新の測定機器を導入しています。
① 口腔衛生状態の低下(お口の汚れ)
お口の中の細菌数や、舌の上の汚れ(舌苔)をチェックします。
汚れが目立つと、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
② 口腔乾燥(お口の乾き:ムーカスによる測定)
お口の潤い(湿潤度)を測定します。当院では、口腔水分計「ムーカス」を導入しています。
唾液が減ると、食べ物をまとめて飲み込むことが困難になり、自浄作用が落ちて虫歯や歯周病も急加速します。
ムーカスは、舌の表面にセンサーを数秒当てるだけで、お口の乾燥レベルをデジタル数値で測定できます。
③ 咬合力(噛む力)の低下
自分の歯や入れ歯で、どれくらい強く噛み締められるかを測定します。
当院では専用の圧力シートを用いて、噛み合わせのバランスと強さを視覚化します。
④ 舌口唇運動機能(お口の動き)の低下
「パ・タ・カ」という音を1秒間に何回発音できるかを測定します(オーラルディアドコキネシス)。
これは、食べ物を喉へ送るための舌と唇のスピードを確認する重要な検査です。
⑤ 低舌圧(舌の筋力)の低下
食べ物を喉へ送り込む「ポンプ」の役割を果たすのが「舌」です。
当院では舌圧測定器を用い、舌が上顎を押し上げる力を測定します。
ここが弱いと、食べ物を上手く飲み込めず、喉に残ってしまう原因になります。
⑥ 咀嚼能力(噛み砕く力)の低下
実際にグミゼリーを噛んでいただき、どれくらい細かく粉砕できるかを数値化します。
⑦ 嚥下機能(飲み込む力)の低下
問診票(EAT-10など)や、唾液を何度も飲み込むテストを行い、飲み込む力に問題がないか確認します。
必要に応じて、嚥下内視鏡検査(VE)という高度な検査も訪問・外来共に行っています。
なぜ「毎月のメンテナンス」が必要なのか
検査の結果、3項目以上が基準を下回ると「口腔機能低下症」と診断されます。
当院は、厚生労働省から「口腔管理体制強化加算(口管強)」の認定を受けているため、口腔機能低下症の管理を「毎月」保険診療で行うことが可能です。
専門的な口腔清掃
細菌数を減らし、清潔な環境を作ります。
口腔機能リハビリテーション
低下した項目に合わせ、舌のトレーニング、唾液腺マッサージ、発音練習などを指導・実施します。
再評価
定期的に再検査を行い、トレーニングの効果が出ているか、数値が改善しているかを一緒に確認します。
費用について(保険適用)
口腔機能低下症の検査と管理は、健康保険が適用されます。
項目 |
費用の目安(窓口3割負担の場合) |
|---|---|
検査費用 |
約1,000円 〜 1,500円程度 |
毎月の管理・指導料 |
数百円 〜 1,000円程度 |
※当院では、お一人に1時間の予約枠を確保しているため、検査の結果説明からトレーニングの丁寧な指導まで、時間をかけてじっくり行うことができます。
院長からのメッセージ:お口は、あなたの「生きる力」そのものです
「最近、家族との食事が楽しくなくなってきた」
「固いものを避けるようになった」
そんな小さな変化を放置しないでください。
シンシアメディカル歯科は、成瀬の地域医療を支える「お口の保健室」でありたいと考えています。
世間話を楽しみながら、リラックスした雰囲気の中で検査を行っています。
「ちょっと気になる」という気軽な気持ちで構いません。
一生、自分の口で美味しく食べ続けるための第一歩を、ぜひ当院で踏み出してください。
